予定がぎっしり詰まったカレンダーが、必ずしも生産的な1日を意味するとは限りません。やりかけのタスクの間を絶えず行き来していると、注意が1つのことに落ち着く時間がなかなか取れません。これはコンテキストスイッチと呼ばれる現象です。すべての切り替えをなくすことはできませんが、1日の組み立て方を工夫すれば、不要な切り替えを減らすことはできます。
コンテキストスイッチとは?
コンテキストスイッチとは、注意をあるタスクから別のタスクへと移すことです。この言葉には、コンピューターの分野での専門的な意味もあります。オペレーティングシステムでは、プロセッサがあるプロセスを一時停止して別のプロセスに切り替えるときにコンテキストスイッチが発生し、最初のプロセスの状態を保存して後で戻れるようにします。ADHDのある人は、注意の調整や実行機能の違いによって気が散るものに抵抗しにくいため、特にコンテキストスイッチが起こりやすい場合があります。日々の仕事でも考え方は同じです。注意が1つのタスクから離れ、別のタスクに向け直さなければならなくなるのです。
日常のコンテキストスイッチの例
コンテキストスイッチは、職場や大きな中断に限ったものではありません。ごく普通の1日のあちこちで起こり、どれほど頻繁に注意が移っていたかに気づくまで、気が散っているとはほとんど感じないことも少なくありません。
よくある例をいくつか挙げてみましょう。
- 身支度をしながらスマートフォンをチェックする。着替え始めたところでメッセージを確認し、Instagramを開き、通知を読んで、気づけば何をしていたのか分からなくなっています。
- あれこれ手を出しながら料理をする。夕食を作り始め、メッセージに返信するために手を止め、冷凍庫から何かを出さなければと思い出し、レシピを確認してから、ようやくコンロに戻ります。
- 朝のルーティンを始めては中断する。コーヒーを淹れ、支払いがあったことを思い出して銀行アプリを開き、別の通知を見て、気づけばまったく違うことをしています。
- 家事から家事へと移る。洗濯物をたたみ始め、シンクの食器が目に入って台所の掃除を始め、片付けなければいけない物を思い出して、結局やりかけのタスクがいくつも残ります。
- くつろぎの時間にも切り替える。ドラマを見ようと座ったのに、最初の数分でスマートフォンをチェックし、メッセージに返信し、SNSをスクロールしてからドラマに戻る。結局、どれにも集中できていません。
コンテキストスイッチとマルチタスクの違い
コンテキストスイッチとマルチタスクは密接に関係していますが、まったく同じものではありません。どちらも複数のことに注意を向ける点は共通していますが、違いは注意がどう働いているかにあります。
マルチタスクとは、2つ以上のことを同時にこなそうとすることです。たとえば、メッセージに返信しながらポッドキャストを聴いたり、テレビを見ながら夕食をとったり、スマートフォンをチェックしながら会話についていこうとしたりすることです。
一方、コンテキストスイッチは、ある活動や頭の中の文脈から別のものへ注意を移すときに起こります。必ずしも同時に何かをしているわけではなく、何度も行き来しているのです。実際には、この2つはセットになっていることがよくあります。マルチタスクのように感じていても、実は短いコンテキストスイッチを次々に繰り返しているだけかもしれません。
コンテキストスイッチの代償
1回1回の中断はほんの数秒から数分で終わることが多いため、コンテキストスイッチは害がないように思えるかもしれません。しかし本当のコストは、中断そのものにかかる時間だけではありません。別の活動に切り替えるたびに、どこまで進んでいたかを思い出し、それまでの集中した状態を取り戻さなければなりません。また切り替えれば、同じことの繰り返しです。1日を通して中断と再開、やり直しを繰り返していると、集中を保つのが難しくなり、物事がなかなか進みません。勢いをつけて物事を前に進めるどころか、何度も元の場所に戻ることになります。これが頻繁になるほど、注意も、そして1日も、細切れになっていきます。
コンテキストスイッチを減らす方法
1日からコンテキストスイッチを完全になくすことはできませんし、そうしようとする必要もありません。目指すのは、物事を前に進められるだけの中断のない時間を確保することです。いくつかのシンプルな習慣で不要な切り替えを減らし、今していることに集中しやすくなります。
1. シングルタスクを実践する
シングルタスクとは、注意を複数のことに分散させるのではなく、一度に1つの活動にだけ向けることです。読書をするなら、読書に集中する。料理をするなら、料理に集中する。メッセージに返信するなら、別のアプリを同時にスクロールせず、返信だけに集中します。
決めた時間はその活動に全力で取り組み、それから意識して次のことに移りましょう。注意を絶えずよそに向けることがなくなると、物事が早く終わり、もっと楽しめるようになるかもしれません。
カレンダーのヒント:全力で取り組みたい活動のために専用のブロックを作りましょう。たとえば、読書に30分、運動に1時間、メッセージへの返信に決まった時間を確保します。あらかじめ時間を押さえておけば、次に何をするかをいちいち考えずに、1つの活動に集中しやすくなります。

2. 習慣の積み重ね(ハビットスタッキング)を試す
習慣の積み重ねとは、新しい習慣をすでに続けていることに結びつける方法です。まったく新しいルーティンを作るのではなく、既存の習慣を次の習慣のきっかけにします。たとえば、ビタミンを飲んだ後に歯を磨く、夕食の後に5分間で翌日の計画を立てる、といった具合です。習慣をつなげることで、いつ、どうやって1日に組み込むかを決める回数が減ります。
カレンダーのヒント:自然にそれを行う時間帯に、繰り返しのルーティンをカレンダーに追加しましょう。毎日夕食後に翌日の計画を立てているなら、夜に繰り返しのブロックを作ります。やがて、カレンダーのリマインダーそのものがルーティンの一部になっていきます。

3. 似たタスクをまとめて片付ける
タスクのバッチ処理とは、似た活動をまとめて同じ時間帯に片付ける方法です。1日のあちこちに散らばらせるのではなく、メッセージへの返信を一度に済ませたり、1回の外出でいくつもの用事を片付けたり、家事をまとめてこなしたりします。まったく種類の違う活動の間を何度も行き来しなくて済むのがメリットです。
カレンダーのヒント:まとめて行うタスクのために、繰り返しのブロックを作りましょう。たとえば、用事のための時間、事務作業のための時間、メッセージを確認する決まった時間を確保します。いくつかの用事が同じエリアにあるなら、それぞれを別のイベントにせず、1つのカレンダーブロックにまとめることもできます。

4. タイムボクシングを使う
タイムボクシングとは、活動に決まった時間を割り当て、その枠の中で取り組む方法です。掃除、読書、受信トレイの整理、プロジェクトの作業などを「そのうちやろう」と考える代わりに、20分や45分と時間を決めて集中します。終わりの時間が決まっていると、すべてを一度に終わらせなければというプレッシャーを感じずに、1つの活動に取り組みやすくなります。時間が来たら、続けるか、やめるか、別のことに移るかを意識して決めましょう。
カレンダーのヒント:開始時刻と終了時刻をはっきりさせて、タイムボックスをカレンダーに直接入れましょう。たとえば、終わりの決まっていない「家の片付け」というタスクの代わりに、18:00〜18:30に予定を入れます。Calendars by ReaddleのPlanner機能なら、タスクを長押ししてそのまま1日の予定にドラッグできるので、フォームに入力する感覚ではなく、ブロックを置くような感覚でタイムボックスを作れます。

5. タイムブロッキングを使う
タイムブロッキングは、この考え方をさらに一歩進め、特定の種類の活動に充てる時間のブロックを中心に1日を計画する方法です。カレンダーを予定で埋めるだけでなく、集中して取り組む作業、運動、用事、自分の時間、家のことなどのために、1日の一部をあらかじめ確保しておきます。
カレンダーのヒント:まず、守るべき時間が必要な活動を2つか3つ決め、ほかの予定を入れる前にカレンダーでその時間をブロックしましょう。カレンダーを統合して表示すれば、予定と計画したブロックをまとめて確認でき、1日が細切れになりすぎている箇所にも気づけます。

スケジュールが細切れだと、コンテキストスイッチは避けにくくなります。Calendars by Readdleをダウンロードして、もっと集中できる1日を作りましょう。